#1 GONNYSはなぜ生まれたのか――「助けになる絵」を探して
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ここから始まる Art Journal は、私の過去の制作と現在の試行、そしてこれからの展望を見取り図のように並べる試みです。中心にはキャラクター「GONNYS」がいますが、目的はキャラクター紹介に留まりません。私のアート全体と結びつけながら、どこへ向かおうとしているのかを開いていきます。ご一緒に、このブランドの未来を形づくっていければ幸いです。
GONNYSはなぜ生まれたのか——「助けになる絵」を探して
キャラクターに興味がなかった頃
正直に言えば、長いあいだ私は“キャラクターを描くこと”に魅力を感じていませんでした。形を整え、表情を与え、名前まで付ける——そのプロセスは、私にとってどこか作為的に思えたのです。だから、キャラクターを「作りたい」と思うことはありませんでした。
転機——ひとつの言葉
そんな私の姿勢を静かに揺らしたのは、あるアーティストの言葉でした。
「アートは、困った時に人の役に立たなければならない。大変な時に人を救うものでなければならない。」
私はその言葉を聞いた瞬間にキャラクターを描こうと決めたわけではありません。ただ、その意味を反芻するうちに、表現の役割が少しずつ別の輪郭を帯びてきました。鑑賞の愉しさだけでなく、心の手すりのように寄り添う存在——そんな絵があってもいいのではないか、と。
形より先にあった“役割”
その気づきが、ゆっくりと私の中の抵抗をほどいていきました。まず先にあったのは「何を描くか」ではなく、「何のために描くか」という問い。困難なとき、ふと目に入るだけで肩の力が抜けるような存在。日常に置ける、軽やかな味方。
この“役割”の器に、自然と姿が流れ込むようにして現れたのが、ゴニーズでした。
ゴニーズという“手すり”
ゴニーズは、完璧ではありません。ときに間の抜けた表情を浮かべ、余白をたっぷり残します。だからこそ、見る人それぞれの気分や物語が入り込む余地が生まれます。私はこの余白を、意識と意識のあいだに架かる小さな橋だと考えています。境界をやわらげ、こちら側から向こう側へ、そっと呼吸を通すための橋です。
はじまりの記録として
振り返れば、「キャラクターは描かない」という自分の前提を手放したとき、表現は新しい領域へ滑り出しました。ゴニーズは、そんな内的な転換の証人です。
これが、キャラクター「ゴニーズ」の始まりの物語。お読みいただき、ありがとうございました。
— 次回予告 —
次回は、ゴニーズの前身**「ニコイピ」**の誕生秘話。なぜ生まれ、どんな役割を担い、どのようにゴニーズへつながっていったのか——初期スケッチとともに辿ります。